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シトイウカ

第2章 に。

「師走前の商店街における問題解決を後回しにしたことについて」

タイル張りの床に思うことは
まあ、大体が同じ寸法で
大体が同じ材質で
同じ色や模様をしているのだけれど

それぞれに違うのだなぁ

まあ、人通りの多い場所や
半分にされて柱が建てられているような
不幸なタイルもあれば

店の出入口の端で
ピカピカに磨かれた
幸運なタイルもある

タイルとタイルの継ぎ目は
それなりに職人が
丁寧に並べているので
整然としているけれども
年月はひび割れを作っている

こうして観察してみれば
タイルって、まるで、人間模様だね
なんて言ってしまいそうだけれど
私はアマノジャクだから
そんなことは言いたくなかったりもする

商店街には冷たい風が吹いて
アーケードに吊られたリースが揺れている
昼間の電飾が真面目に光っている

タイルの模様は、
ただ、向こうまで続いている

こういうのは
もう、早めに片付けてしまいたいのだけれど
芯まで身体が冷えたから
とりあえず
温かいコーヒーを飲もう

終わり



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