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~多重人格パートタイムラヴァー・ガール~

第99章 ドライバーでスカウトマンで⑯

「スカウトのあと一つや。飲み屋やら同業の他の店に行ってスカウトする。いわゆる引き抜きや。これは、まずは止めとき。相手の店と必ずトラブルなる。店によっては引き抜き罰金100万なんて書いてる。もちろん法律的にはそんなもの払わなくていい。逆に本気でそんなもの請求したら、それこそ恐喝やな。でも、同業としての仁義に反する。だから武闘派の店なら殴りこんで来たり、裏の人間が動いたりするんや。メンツあるからな。これはイツキ君は止めときな」

「もちろんです。そんな恐ろしいこと、とてもやないですができませんから」

「そやな。今、話したようにスカウトって言っても色々あるわな。まずは自分ができそうなのを、なかなか初めは結果は出なくても焦らず、腐らずやることやな。真面目にやった者に必ずチャンスが来るんや。それ信じてな」

「はい。自慢やないですがボクはじっと何かを続けるのは得意な方やと思います。焦ったり、腐ったりは無いんです」

「そうか。そうか。それもまたイツキ君の個性やな。それは…オレとケンとも違って農家の人みたいや」

ボビーさんは優しい目をしてそう言った。

「はい。どちらかと言うとそうかも知れません。花が咲くまでじっくり粘りたいです」

ボクはそう言って、目の前の通りを行くミニスカートの女の子を目で追った。

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