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~多重人格パートタイムラヴァー・ガール~

第101章 ドライバーでスカウトマンで⑱

「ダメです。無理です。あんな可愛いコに声なんて、どうかけていいかわかりません」

ボクはだんだん近づいて来る女の子を見つめながら言った。

「そやな。確かに可愛い。あぁいうコが欲しいな。っていうかイツキ君、声がかけやすいからってブスはいらんのやで。ブスに声を掛けてシカトされた時のショック考えたら、あれくらいのコに玉砕覚悟で行く方がダメでもすかすがしい。うまくいけばミラクルや」

女の子がボビーさんの横を通って行った。ボビーさんは女の子の頭のてっぺんから足の先まで視線を流して、うんうんと頷きながら言った。

「清楚でやや童顔。ちっちゃくて細いけど胸はある。肌も白い。人気になるアイテムをずらり揃えた無敵の姉ちゃんやったな」

「はい。まさに無敵で、ボクなんか一瞬で吹っ飛ばされます」

ボクが早口で言うと

「イツキ君そんなに興奮しなくていいから。相手は言っても女の子。声かけてホンマにぶっ飛ばされることはないから。でも、あれは確かに無理そうやな。今から用事あるんやないか」

ボビーさんはそう言って。さっきの女の子を探すように通りに目を向けた。

「それはどうしてわかるんですか?」

そう言って、ボクもさっきの女の子を通りに探したけど、もう見つからなかった。

「まずは歩き方。歩調やな。あれだけ早歩きのコは止めても話はきかないやろな。あと、信号で待ってる時に時計を何度か見た。ソワソワしてな。彼氏と待ち合わせでもしてるんやないか」

ボビーさんはそう言った。今度はまた、別の女の子を探しているのか、少しキョロキョロと視線を動かしていた。

「そんなトコまで見てたんですか?」

「それは基本や。洞察力な。目の前に来てからでは遅いんや。ホラ次は向こうから来る茶髪でヴィトンのバック持ったコ」

ボクも目で追った。さっきのコと比べたら、やや派手目。学生というよりはフリーターという感じだった。
「ゆっくり歩いて、通りのショーケースを覗いたりしてるやろ。何より白いニットにアニマルプリントが入ったスカート。そしてヴィトンのバック。こういうアンバランスなファッションしているコが狙い目やな。ブランドにも興味あるしな。」

「凄いですね。ボクは女の子をそういう見方したことが無いです」


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