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~多重人格パートタイムラヴァー・ガール~

第102章 ドライバーでスカウトマンで⑲

ボクはそう言って、また通りに目をやると、その女の子にホストらしいのが声をかけた。女の子は足を止めて話をきいている。そのうちホストと二人で何やら笑いだしていた。

「な。あれがべっぴんさんならイツキ君は逃したらアカン」
ボビーさんはボクの方を向いてそう言った。

「でも、最初に何て声をかけたらいいもんなんですか?」

ボクはボビーさんの方に体ごと向き言った。

「イツキ君はそこまできくか?ちゃんと自分なりの言葉を戦いの中で見つけるんや」

ボビーさんは右手の拳を握ってファイティングポーズをとった。

「ただ、どんだけアホでも「デリヘルやりませんか?」とはいきなり言えんやろ。だからと言って、「今少しいいですか?」とか「今時間ありますか?」なんて最初に言ってもアカンねんな。」

「そうなんですか。きちんとしててスマートやないかと思うんですが」

「うん。そうなんよ。スマート過ぎて女の子も断り安いんよ。「けっこうです」とかな。断り文句が返ってくる言葉は最初に出したらアカンな。今も昔もナンパは「今時間ですか?」なんや」

「今時間?そうきくんですか?」

「そう。東急ハンズはとっちてわすか?でもいいんや。大事なんは話をきいてくれるきっかけなんよ」

「うーん。そういうもんなんですね」

「そうや。で、優しい女の子が時間やらを教えてくれて、こっちを見た時にイツキ君はハンサム光線をピカ一!てな」

ボビーさんの話はどこまでが本気なのかわからない時がある。
でも、ボクは光線は出せません。とは言わなかった。
さっき見かけた学生風の無敵とボビーさんが言った女の子が彼氏らしき相手と腕を組ながら歩いてきた。

「よし。イツキ君。いよいよ実戦といこうか。大丈夫や。骨はオレが拾ったる」

こうしてボクはスカウトマンとしてデビューすることになった。


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