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~多重人格パートタイムラヴァー・ガール~

第122章 美香のPartTimeLove⑳

「それじゃあ、さっそくお仕事が入ったから頑張っていって来ようかな」
ボビーさんが優しい笑顔でそう言った。

アタシが小さく頷くと、
「大丈夫。上手くいかなくたっていいんだから。最初はみんなそうなんだよ。無理なことはしなくはていいからね。できることだけをやっておいで。どうしていいのかわからなくて困ったら、すぐに電話をしておいで」
そう言ってボビーさんはお仕事セットと言われている手提げバックを渡してくれた。
さっき教えてもらっていたけど、中にはウガイ用のイソジン、薬用液体ソープとローションが入っている。それぞれの使い方も教えてもらった。

「このお客さんは、うちの常連さんなんだ。今までついた女の子からきいているけど、物静かなどこかの会社のエライさんらしいよ。まず無理なことなんかいわない人だから安心して大丈夫だよ。オレからも、全くの未経験なんでお手柔らかにお願いしますって伝えてるからね。ミカちゃんの初めてのお客さんとしてはかなりいいお客さんだと思うよ。さ。下でイツキ君が待ってるから送ってもらおう」
今度はケンさんが声をかけてくれた。
片手に電話の子機を、もう片手には携帯電話を持っている。この人はずっと忙しそうにしている。
ボビーさんやケンさんを見ていると、風俗とは言え、これは仕事なんだって思えてくる。
アタシはミカとして仕事をすればいいんだって、気持ちを割りきらせてくれた。
「さてミカ伝説のはじりだ」
部屋の玄関まで見送りに来てくれたボビーさんが真面目な顔でそう言った
ケンさんがアタシに向かって笑顔でVサインをした。
「行ってらっしゃい」
二人が声を揃えて言った。
行ってらっしゃい。アタシはこんな風に見送られたことがあっただろうか?
ちょっと嬉しくもあり恥ずかしくもあった。

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