
~多重人格パートタイムラヴァー・ガール~
第25章 ギルティが現れる②
「アタシ神戸の大学を受験したいんです。そこで一人暮らししてみたいんです」
アタシは両親より先にトンボに打ち明けた。
トンボはアタシの言葉にすぐに答えず、アタシの顔をじっくり眺めるように見た。
いつものことだが、アタシはトンボのこの時の目が嫌いだ。
アタシの中の何かを探ろうとする。
今のアタシが誰であるかを見ようとしているのだろうが、アタシは自分が犯罪者になったような気持ちになる。
それに、最近トンボのアタシを見る目を前にもまして粘着的に感じて寒気がすることがある。
でも今はそんなことは言ってられない。
なんとしてもトンボを味方につけなければならないんだ。
「残念だけど。今のままではそれは無理だよ」
トンボは何の前置きもなしにいきなりダメ出しから入ってきた。
「最近は美香ちゃんの分裂の頻度はとても減っているのは確かだ。でも、何故こうなったかの原因に触れるとまだパニックを起こすことがあるんだ。美香ちゃんが思っているより今はとても大切な時なんだ。もしかしたらあと一歩なのかも知れないんだよ」
トンボはまるで裁判で判決を言い渡すかのように全く容赦ない口調で言った。
そしてさらに続けた
「自分のコントロールを失ってしまった時に大きな問題が起こってしまうことが心配なんだよ」
「じゃぁアタシが一人で暮らすのは絶対に無理ということなの?」
アタシは今までに、こんなに強い口調でトンボに話したことはなかった。
トンボはアタシの顔をじっと見つめている。
「今は一人暮らしどころか集中して治療に専念するために、施設に入ったほうがいいくらいなんだ。誰かが美香ちゃんを監視することが必要なんだ」
「施設!!」
受験、そして一人暮らしの話をしているのに何故施設の話になるんだ?
アタシは愕然とした。
監視ってどういう意味なんだ!
アタシはずっと夢に見てたことを、こんなにも簡単に潰されたことが悔しくって悔しくって頭に血が上り、鼓動が早くなってきた。
「大丈夫だよ。大丈夫だからここはまかせて落ち着くんだ」
それは声ではなく、体全体を震わせるような響きだった。でも優しくて静かで、しっかりと言葉としてアタシは感じることができた。
「誰?誰なの?」
アタシは声にならない言葉を頭の中にイメージして問いかけた。
「ギルティ」
その言葉がまた体を震わせた。
アタシは両親より先にトンボに打ち明けた。
トンボはアタシの言葉にすぐに答えず、アタシの顔をじっくり眺めるように見た。
いつものことだが、アタシはトンボのこの時の目が嫌いだ。
アタシの中の何かを探ろうとする。
今のアタシが誰であるかを見ようとしているのだろうが、アタシは自分が犯罪者になったような気持ちになる。
それに、最近トンボのアタシを見る目を前にもまして粘着的に感じて寒気がすることがある。
でも今はそんなことは言ってられない。
なんとしてもトンボを味方につけなければならないんだ。
「残念だけど。今のままではそれは無理だよ」
トンボは何の前置きもなしにいきなりダメ出しから入ってきた。
「最近は美香ちゃんの分裂の頻度はとても減っているのは確かだ。でも、何故こうなったかの原因に触れるとまだパニックを起こすことがあるんだ。美香ちゃんが思っているより今はとても大切な時なんだ。もしかしたらあと一歩なのかも知れないんだよ」
トンボはまるで裁判で判決を言い渡すかのように全く容赦ない口調で言った。
そしてさらに続けた
「自分のコントロールを失ってしまった時に大きな問題が起こってしまうことが心配なんだよ」
「じゃぁアタシが一人で暮らすのは絶対に無理ということなの?」
アタシは今までに、こんなに強い口調でトンボに話したことはなかった。
トンボはアタシの顔をじっと見つめている。
「今は一人暮らしどころか集中して治療に専念するために、施設に入ったほうがいいくらいなんだ。誰かが美香ちゃんを監視することが必要なんだ」
「施設!!」
受験、そして一人暮らしの話をしているのに何故施設の話になるんだ?
アタシは愕然とした。
監視ってどういう意味なんだ!
アタシはずっと夢に見てたことを、こんなにも簡単に潰されたことが悔しくって悔しくって頭に血が上り、鼓動が早くなってきた。
「大丈夫だよ。大丈夫だからここはまかせて落ち着くんだ」
それは声ではなく、体全体を震わせるような響きだった。でも優しくて静かで、しっかりと言葉としてアタシは感じることができた。
「誰?誰なの?」
アタシは声にならない言葉を頭の中にイメージして問いかけた。
「ギルティ」
その言葉がまた体を震わせた。
