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~多重人格パートタイムラヴァー・ガール~

第26章 ギルティが現れる③


「大丈夫かな?今は誰なのかな?誰でもいいから話をしよう」

美香は神戸の大学に進学して一人暮らしをしたいと私に相談してきた。
しかし、それはまだ難しいと私が言うとひどく興奮した後に放心して、また睡眠に落ちたようだ。放心時間がかなり長くて今までとは少し違う感じもあるが、人格が入れ替わる時の前兆のパターンのようだった。

美香がゆっくりと体を起こし、こちらを向いた。そしてこう言った。

「誰でもいいから?そういう混乱させるような言い方をないでほしい」

これは誰だ?
声は今までにきいたことの無い声だった。それは低くトンネルの中で聞こえるような響きだった。もしかしたら、それは声でさえなかったかも知れない。私にはそれを聞いても性別さえ分からなかった。

私は美香の顔を見た。

表情は・・・・!!

美香の顔に全く表情というものが無かった。
それは固まった表情という意味でなく、全く失ってしまったかのような・・・いや、初めからそこには表情など無かったような顔だった。

「私はギルティ」

初めて聞く名前だったが、あきらかに今までの人格とは違う雰囲気を私は感じた。

「ギルティさんはじめまして。ギルティさんは男性ですか?女性ですか?年齢は?」

「先生。慌てなくていいのです。私がこうして表に出てきたのですから、これから色々なことが解決していきます」

美香は私の目をじっと見つめて言った・・・言ったようだった。その視線は、とても冷たく、そして強く、私のまだずっと後ろの遠くを見ているようだった。

先生!?

「ギルティさん。アナタは私が誰だか知っていたのですね?」

私は興奮していた。このギルティという人格は、はじめて現われたのにも関わらず私のことを知っていた。これは他の人格の時に意識があったということではないか。

解決!?

それはどういう意味なのだろうか?


「私は性別や年齢は持たない。ただギルティなのです。」







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