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~多重人格パートタイムラヴァー・ガール~

第30章 ギルティが現れる⑦

「お願いします。もう許してください。お願いします」
①②は土下座するように座りタイルの床に額を押し付けて懇願した。

紫音は2人が言っていることには答えずに、スカートのポケットから携帯を出した。

そして必死で許してもらおうと泣きながら懇願し続ける2人をムービで撮りはじめた。

それから、床に寝転んでいたキツネ顔の体を、片手で起こし壁にもたれかかせるようにして座らせた。

キツネ顔は髪も顔も汚れてドロドロでブラウスもビショビショになり悲惨な姿だった。そんなキツネ顔をムービーに撮りながら紫音は言った。

「オマエラ忘れんなよ。今度なめたマネしたらマジに死ぬからな。それとこのことを誰かに喋ってもだ。まぁその時はこのムービーもネット上にアップされるけどな。分かったら、誰にも出会わないようにさっさとここを出て今日は帰れ」

3人は体をフラフラさせて壁や床に手をつきながら、それでも何とか急いで逃げて行った。

それを見届けてから紫音は満足したように笑った。

そして突然全身の力が抜け、トイレの床の上に崩れるように座り込んだ。

紫音はまた奥に引っ込んでしまった。

その後にいきなり放り出されるように現れたのはミユだった。

ミユはどうしていいのかも分からず泣いた。泣いても何も良くはならない。ミユはそれは分かってはいたが、やはり泣くことしかできなかった。

そこにクラスの女の子がトイレに入って来た。
ミユは親指を口に入れてしゃぶりながら泣き続けていた。

いつもなら凛とした美しさを放ち同性の目から見てもうっとりさせるような美香がトイレの床にしゃがみ込んで指をしゃぶりながら泣いている。

何が起こったのか!?信じられない状況を目にしたしたクラスの女の子は美香の肩を抱きかかえ急いで保健室に運んだ。

保健の先生はストレスが原因で精神的に不安定になったのではないかと、呼び出した母親に話した。そして、できれば病院に行って検査を受けた方がいいと母親に勧めた。

助けてくれたクラスの女の子はこのことを一切他言しなかったのでこの事件は学校の中では大事にはならなかった。

例の3人組がその日から学校に来なくなったくらいだった。


美香はそこから長く深い眠りに入った。

その全てをギルティは見ていた。





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