
~多重人格パートタイムラヴァー・ガール~
第32章 精神科医 山口②
美香は全く迷いが無いといった表情で話を続けた。
そして、これこそがギルティの伝えたかったメッセージだったのではないか。
「ギルティは今、それぞれの人格の出現をコントロールできることを先生に見せたのです。しかもそれぞれに起こっていることがきちんと見えて、理解できているということも。
亜里沙さんとの話は短い時間で残念でしたね。
紫音さんとお話させるのは話をこじれさせそうなので止めているようです。
ねぇ先生。これでアタシはもう自分が知らない場所に突然いたり、知らないことが起こってたりすることがなくなるんです。だからもう迷ったり不安になったりしなくていいんです。
先生はアタシの治療目標として、他の人達をいつか消してアタシ一人だけに戻そうとしていたのですよね?統合でしたっけ。でも、こうして皆の意思が通じて一つになればそれも統合ではないのですか?」
確かにそれは美香の言う通りだった。
解離性人格障害の治療目的としては精神的な混乱や不安定さを無くし、実生活の支障や困難さを解消することが目的である。
医者としては人格の分裂のしくみをもっと調べて、やがて元の主人格だけにするということに挑戦したいものだがそれは医者のエゴである。
「美香さんの言うことはよくわかりました。しかし簡単に今日の話だけで全て安心して終了というわけにはいきません。しかも美香さんはここを離れて遠くに行きたいと望んでいる。それはさすがに危険すぎます。
私はもうしばらく美香さんの様子を見せてもらって判断したいです。それからご両親に相談せていただきます」
ここまで言っても、やはりこいつは簡単にアタシの申し出を認めてくれない。
あと一歩のはずなのに。
ギルティどうしたらいいの?
誰か力を貸してくれないの?
アタシは奥でこのやり取りをみているであろう人たちに語りかけた。
そして、これこそがギルティの伝えたかったメッセージだったのではないか。
「ギルティは今、それぞれの人格の出現をコントロールできることを先生に見せたのです。しかもそれぞれに起こっていることがきちんと見えて、理解できているということも。
亜里沙さんとの話は短い時間で残念でしたね。
紫音さんとお話させるのは話をこじれさせそうなので止めているようです。
ねぇ先生。これでアタシはもう自分が知らない場所に突然いたり、知らないことが起こってたりすることがなくなるんです。だからもう迷ったり不安になったりしなくていいんです。
先生はアタシの治療目標として、他の人達をいつか消してアタシ一人だけに戻そうとしていたのですよね?統合でしたっけ。でも、こうして皆の意思が通じて一つになればそれも統合ではないのですか?」
確かにそれは美香の言う通りだった。
解離性人格障害の治療目的としては精神的な混乱や不安定さを無くし、実生活の支障や困難さを解消することが目的である。
医者としては人格の分裂のしくみをもっと調べて、やがて元の主人格だけにするということに挑戦したいものだがそれは医者のエゴである。
「美香さんの言うことはよくわかりました。しかし簡単に今日の話だけで全て安心して終了というわけにはいきません。しかも美香さんはここを離れて遠くに行きたいと望んでいる。それはさすがに危険すぎます。
私はもうしばらく美香さんの様子を見せてもらって判断したいです。それからご両親に相談せていただきます」
ここまで言っても、やはりこいつは簡単にアタシの申し出を認めてくれない。
あと一歩のはずなのに。
ギルティどうしたらいいの?
誰か力を貸してくれないの?
アタシは奥でこのやり取りをみているであろう人たちに語りかけた。
