
~多重人格パートタイムラヴァー・ガール~
第41章 イツキの話①
その日アタシは頭痛と耳鳴りがひどかったので、耳鼻科に行った。
そこは何度か行ったことのある病院だったけど、もちろん解離のことは言ってない。
神戸の病院はいつもこうなのか待合室は今日も混雑していた。
5人がけのソファーが5列あるけど、もう座るところはほとんど無かった。
アタシの地元では考えられないなと思った。
予約をしていればいいんだけど、どうして今日耳鳴りがするって昨日からわかるのかって言ってやりたい。
これだと、また2時間くらいは待たされそうな気がしていた。
アタシは一番前の列の端に座っていた。
待合室の患者さんたちは恐ろしく退屈なのだろう、チラチラとアタシのことを見る。中にはじっと見つめてくる人までいる。アタシはうんざりして無視をし、前の壁に貼ってある『保険証が新しくなりました。』と書かれたポスターを、まるで今から突然文字が動き出すから見逃さないようにしているかのようにただじっと見ていた。
これでは余計に頭痛が酷くなるなって思っていたら、後ろから人が飛ぶように転がってきた。
突然だったのでアタシは小さな叫び声が出て口を押えた。
「痛ったぁー!あ、脅かしてゴメン。あの、これ落ちてたから」
その手に持ってたのはアタシの携帯だった。
細くて長い指だった。顔を見ると、女の子のような白い肌。少し長めのサラサラとした茶色の髪。鼻筋が通っていて細い顎をしていた。とても綺麗な顔をした男の子だった。アタシと同じか少し上くらいの歳だろうと思った。
恥かしそうに頭をかきペコっと頭を下げたけどアタシの顔は見ていなかった。
回りの患者さんもアタシと同じように驚いたようだったけど、すぐに何人かのオジサン、オバサンが
「おニイチャン大丈夫か?怪我ないか?」
「怪我してたら病院連れて行こうか?ああここ病院やった」
「ハハハハ」
と声をかけた。
いかにも関西人だとアタシは思った。
その男の子は、ペコペコみんなに頭を下げながら後ろに下がり、つまずいてまたこけそうになっていた。待合室の皆がまた笑った。それがイツキだった。
そこは何度か行ったことのある病院だったけど、もちろん解離のことは言ってない。
神戸の病院はいつもこうなのか待合室は今日も混雑していた。
5人がけのソファーが5列あるけど、もう座るところはほとんど無かった。
アタシの地元では考えられないなと思った。
予約をしていればいいんだけど、どうして今日耳鳴りがするって昨日からわかるのかって言ってやりたい。
これだと、また2時間くらいは待たされそうな気がしていた。
アタシは一番前の列の端に座っていた。
待合室の患者さんたちは恐ろしく退屈なのだろう、チラチラとアタシのことを見る。中にはじっと見つめてくる人までいる。アタシはうんざりして無視をし、前の壁に貼ってある『保険証が新しくなりました。』と書かれたポスターを、まるで今から突然文字が動き出すから見逃さないようにしているかのようにただじっと見ていた。
これでは余計に頭痛が酷くなるなって思っていたら、後ろから人が飛ぶように転がってきた。
突然だったのでアタシは小さな叫び声が出て口を押えた。
「痛ったぁー!あ、脅かしてゴメン。あの、これ落ちてたから」
その手に持ってたのはアタシの携帯だった。
細くて長い指だった。顔を見ると、女の子のような白い肌。少し長めのサラサラとした茶色の髪。鼻筋が通っていて細い顎をしていた。とても綺麗な顔をした男の子だった。アタシと同じか少し上くらいの歳だろうと思った。
恥かしそうに頭をかきペコっと頭を下げたけどアタシの顔は見ていなかった。
回りの患者さんもアタシと同じように驚いたようだったけど、すぐに何人かのオジサン、オバサンが
「おニイチャン大丈夫か?怪我ないか?」
「怪我してたら病院連れて行こうか?ああここ病院やった」
「ハハハハ」
と声をかけた。
いかにも関西人だとアタシは思った。
その男の子は、ペコペコみんなに頭を下げながら後ろに下がり、つまずいてまたこけそうになっていた。待合室の皆がまた笑った。それがイツキだった。
