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~多重人格パートタイムラヴァー・ガール~

第47章 イツキの話⑦

「ええよ。ええよ。そんな気にせんで」
ボクはそう言って3人組の一人の肩を軽く叩こうとした。
「ヒッ」
3人組がボクの動きに一斉に後ずさりした。
なんだ。失礼なヤツらだな。

しかし、この日を境に学校でボクを取り巻く全てが変わった。

もう誰一人、ボクを苛めたりからかったりしなくなった。
かと言って、皆と打ち解けて仲良くしていたわけでもなかった。
クラスの皆はボクを君づけで呼び距離を取った。

ボクはこの傷跡のせいで化け物扱いされているのだろうか?

あまりにも大きな変化になんだかわからない違和感があったし、新しい自分の環境はけして楽しいとは言えなかったけど、1日中苛めに合っているのと比べたら天国だった。

ボクは孤独だけど、静かな小学校の学校生活を過ごした。

中学と高校では、ボクはきっと普通すぎるくらい普通で目立たない子だった。

勉強やスポーツが得意なわけでもなく、全然できないわけでもなかった。

回りから特別視されることも、もうなかったし大人しい数人の仲間を作りボクは普通の学生生活を過ごした。

ただ傷跡を見られないようにとても気にした。長めの髪にして傷跡を隠した。

高校の時には何人かの女の子に告白されて、ボクも気にしていたコと付き合った。

でも、付き合いは長続きしなかった。
高校生の付き合いなんてこういうものかも知れないと思ったけど、別れる時に彼女が
「イツキ君てすごくハンサムなのに中身はすごく退屈だよね」
と言い、少し傷ついた。

それからしばらくしてできた彼女とも長く続かなかった
「イケメンでつまらない男よりブサイクでも面白い男の方が楽しいから」
と、また別れ際に言われ今度はかなり傷ついた。

そのコのことは本気で好きだったからトラウマのようになり、しばらく女の子とは付き合えなかった。

もちろん女のコが嫌いなわけではなかったけど、ボクは女の子が苦手になってしまった。


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