
~多重人格パートタイムラヴァー・ガール~
第52章 さらばネカフェ③
ただ伊藤はもう一人の社員と違い、普段ボクや他のバイトにも偉そうに言うことはなかった。
きっと以前いた社員があまりバイトに偉そうにしてボコボコにされたことを知っているからなのと、仕事なんかより自分の楽しみを邪魔されたくないと思っているからだろうとボクは思っている。
一度辞めようと思うと拍車がかかり
もう本気で無理。店がどう言おうと辞めようと思ってたある日。
社員の中でも部長と呼ばれる管理者の人が来た。
月に数回抜き打ちで、いつもムスっとした顔でやって来る。
バイトのボクらには部長だからと言ってどうするっていう変わりはないけど社員の慌てぶりは見ていて笑える。
その日の伊藤の慌てぶりは特に酷かった。
全く予期してなくて店内チェックなど全くせずにパソコンの前に座っていた。
「床にお茶がこぼれてドロドロになっているじゃないか」
部長が見つけて伊藤にどなりつけるように言った。
ネカフェのドリンクはフリードリンクになっていて、お客さんが自分たちで入れていく。
お客さんまかせな分、雑になりよく飲み物をこぼして行く。
部長の言った所を見ると、確かにけっこうな量のお茶がぶちまけられていた。
大慌てで飛んで来た伊藤が言った。
「部長!本当に申し訳ありません。私が少し目を離しました。このバイトがぼんやりしていたんだと思います。こいつ退店を申し出しているので適当になってるようです」
しっかり詫びるのかと思ったらこれだ。全てボクのせいにするつもりだ。
「おい五木!ちゃんと頭を下げて謝れ!」
伊藤がボクの頭を強く押さえつけた。
ボクは頭に沸騰した血が上るのを感じ体が震えた。
そこからはよく覚えてない
気がつけば、伊藤がボロ雑巾のようにお茶がまかれた床にうつ伏せで倒れていた。
「店内で暴力はいけない」部長がボクを羽交い締めにしていた。
何ごとかと出てきたお客さんが距離をとり遠目に見ている。
伊藤がピクリとも動かないので、部長が伊藤を抱き上げ、揺すりながら声をかける。
「辞めさせてもらいます」ボクは店の制服のポロシャツを脱ぎ捨てた。
きっと以前いた社員があまりバイトに偉そうにしてボコボコにされたことを知っているからなのと、仕事なんかより自分の楽しみを邪魔されたくないと思っているからだろうとボクは思っている。
一度辞めようと思うと拍車がかかり
もう本気で無理。店がどう言おうと辞めようと思ってたある日。
社員の中でも部長と呼ばれる管理者の人が来た。
月に数回抜き打ちで、いつもムスっとした顔でやって来る。
バイトのボクらには部長だからと言ってどうするっていう変わりはないけど社員の慌てぶりは見ていて笑える。
その日の伊藤の慌てぶりは特に酷かった。
全く予期してなくて店内チェックなど全くせずにパソコンの前に座っていた。
「床にお茶がこぼれてドロドロになっているじゃないか」
部長が見つけて伊藤にどなりつけるように言った。
ネカフェのドリンクはフリードリンクになっていて、お客さんが自分たちで入れていく。
お客さんまかせな分、雑になりよく飲み物をこぼして行く。
部長の言った所を見ると、確かにけっこうな量のお茶がぶちまけられていた。
大慌てで飛んで来た伊藤が言った。
「部長!本当に申し訳ありません。私が少し目を離しました。このバイトがぼんやりしていたんだと思います。こいつ退店を申し出しているので適当になってるようです」
しっかり詫びるのかと思ったらこれだ。全てボクのせいにするつもりだ。
「おい五木!ちゃんと頭を下げて謝れ!」
伊藤がボクの頭を強く押さえつけた。
ボクは頭に沸騰した血が上るのを感じ体が震えた。
そこからはよく覚えてない
気がつけば、伊藤がボロ雑巾のようにお茶がまかれた床にうつ伏せで倒れていた。
「店内で暴力はいけない」部長がボクを羽交い締めにしていた。
何ごとかと出てきたお客さんが距離をとり遠目に見ている。
伊藤がピクリとも動かないので、部長が伊藤を抱き上げ、揺すりながら声をかける。
「辞めさせてもらいます」ボクは店の制服のポロシャツを脱ぎ捨てた。
