
~多重人格パートタイムラヴァー・ガール~
第61章 PartTimeLover④
「ずいぶん前や。阪神大震災の前やから、もう20年くらい前や。その時付き合ってた彼女が、めっちゃ文科系で、本なんかもすごく読んでるようなコやってな。はじめてのデートで神戸の美術館行こうってなってな。そんなんオレ美術館なんか行ったことないし。その頃は今のクラブみたいなディスコで毎夜遊んでたタイプやったから。それでも若さやったんやろな、相手が自分にないもの持ってたらめちゃくちゃ興味をもって恋心を感じてまう。だから、言うことだって素直にきく。美術館なんか何がオモロイねん!なんて思ってても言わない。でも、そりゃあれだ、そのコが美少女コンテストなんかに出ててもおかしくないくらい可愛いかったからなんもあるけどな。」
ボビーさんはとても楽しそうに話して、今度グラスの水を一口飲んだ。
「そこでやってたのがフェルメール展やったんよ。オレなんかちょっと場違いかなって思って、一人で照れながらすすんでて見つけたんよ。それが、『真珠の耳飾りの少女』って絵。絵のことなんかは、わからんかったよ。難しいことはなにも。でも、オレはその少女のかぶるターバンの青い色から目が離せなくて、そこからしばらく動かなかったな。なんて綺麗な青や。深くて、そして鮮やかやった。で、その青はこのラピスラズリを精製して作ってるって後で知ったんや」
ボビーさんは、一気に話して、まるで深呼吸で息を吐く時のようにフーっと息を吹いて青い玉の数珠をじっと見た。
ボビーさんはとても楽しそうに話して、今度グラスの水を一口飲んだ。
「そこでやってたのがフェルメール展やったんよ。オレなんかちょっと場違いかなって思って、一人で照れながらすすんでて見つけたんよ。それが、『真珠の耳飾りの少女』って絵。絵のことなんかは、わからんかったよ。難しいことはなにも。でも、オレはその少女のかぶるターバンの青い色から目が離せなくて、そこからしばらく動かなかったな。なんて綺麗な青や。深くて、そして鮮やかやった。で、その青はこのラピスラズリを精製して作ってるって後で知ったんや」
ボビーさんは、一気に話して、まるで深呼吸で息を吐く時のようにフーっと息を吹いて青い玉の数珠をじっと見た。
