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~多重人格パートタイムラヴァー・ガール~

第64章 スカウトマンと良い話と悪い話②

「オレがサラリーマン辞めたばかりの頃や。あ、サラリーマンの話はええやんな。
さて、これからどうしょかって思ってた時に、たまたま、そこや。そこ。その繁華街に抜ける路地で、手相人相占いってやってたから見てもらおう思ったんや。
そこにえらく眼光の鋭いオバァがいてな。手を見せたらいきなり、アンタ占い師になりなさいやって。えぇー!やろ?冗談か思うやん。
それでも、そこからトントン拍子に話がすすんで結局そのオバァちゃんの弟子になって占い始めたんよ。
そのオバァちゃんはどうも今で言うスピリチュアルってかな、霊感らしきものが強い人でな。それなりのもん見せられてん。まぁオレの部屋の間取りとかな。ビックリするやろ?それでオレ単純やから、まるっきり信じて、気がついたら先生って言ってたわ。」

ボビーさんはさっきまでと違って昔を振り返えるようにゆっくりと、そして楽しそうに話した。

「後でわかったんやけど、そのオバァ先生は、街頭で暑い寒いをしのぎながらやるのが、そろそろ限界かって思って引退考えてて、後がま探してたんやて。街頭とかには、裏の世界の権利みたいなんがあってな、オバァ先生は昔にその世界の偉いさんと縁があって、その権利手に入れたらしいんよ。でも辞めたら自分には後がまになる身内もおらんし、大事な権利を無駄にしたくない。
どうしたもんかと思ってた時にたまたまオレが来たらしいんよ。
オレにはそんなんできんで。って言った。考えたこともないって。
あ。ちょうど今のイッキ君みたいか。
そしたらオバァ先生は、そんなことくらいわかるわ。やって。
じゃあなんでオレなん?ってきいたら、アンタ断らんやろ?ってな。
確かに。そうやねん。
で、気がついたらオレ勉強して、それからそこの街頭に座ってな、たくさんの人の顔と手相みたんや。

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