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~多重人格パートタイムラヴァー・ガール~

第70章 スカウトマンと良い話と悪い話⑧

「では、イッキ君の覚悟が、よくわかったトコで先に悪い方の話をしておくな。イッキ君はスカウトの仕事の話なんて全く知らなかったと思う。そこに話をけしかけて悪いんやけど、実はスカウトっていうのは兵庫県の迷惑防止条例では禁止されているんや。
路上で女の子に声をかけるのがアカンねん。痴漢や盗撮と一緒の迷惑防止条例や。見つかるときっちり引っ張られる。もちろん未成年者に声をかけたり、相手を執拗に追い回したりしなければ長い拘束や罰はない。
ただ、警察は組織の解明をしたがるんよ。どんなとこに所属していてどこに女の子を紹介しているか。どれくらいのお金が動いているか。
悪質な場合は当然警察としては元を引っ張りたいからな。だから逮捕されてから20日くらいは帰してくれないこともある。

どや?こういうのは知ってたか?」

ボビーさんの声のトーンがやや下がったようなきがした。

「いえ。全く知りませんでした」

悪い話とはそういうことだったんだ。ボクはすっかりボビーさんのところでスカウトをやってみようかと本気で考えはじめていただけに、そういうリスクを全く考えてなかった。

ボクは今の話をきいて、少し気持ちが引いていくのがわかった。
警察はマズいだろ。いくらやりたいことが見つけられないとしても、そこに足を踏み入れるのはさすがに躊躇してしまう。

両親たちにも迷惑がかかりそうだ。

「スカウトやってて逮捕されることってどれくらいあるんですか?」

ボクは聞いてみた。それはかなり弱々しい声だった。警察ときいて、すぐにボクは萎縮してしまった。ボビーさんは、ボクが本当にヘタレだって思っただろうか。ボクはすごく喉が渇いたので、コップの水をガブガブ飲んだ。

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