
~多重人格パートタイムラヴァー・ガール~
第72章 スカウトマンと良い話と悪い話⑩
ホンマや。「ラピス」の話は、全然してなかったな。それは悪かった。あれだ。イッキ君ぐらい全くこの業界のこと知らなかったら、ついついあれこれ話したくなってしまう。あれだ女の子口説く時に饒舌なってしまうみたいたもんかな。」
ボビーさんは照れたように頭をポリポリと掻いた。
やはりこの人のしぐさは子供っぽくて可愛いらしい。
「そんなこと全然気にしないで下さい。ボクはもっとボビーさんの話がききたいと思ってます。どうぞ続けて下さい。お願いします」
「うん。「ラピス」は今年3年目になるかな。毎年関西でも100件以上のデリヘル店ができて90件はつぶれると言われるデリヘル業界で3年つづけてこれたのは、ラッキーだったのか、とりあえず生き残ったことにホッとしているな。
スタッフは店長のケンとサブのリュウイチ。基本、オレかケンがお客さんの電話とったりホームページやらサイトの更新作業をしている。あと女の子を乗せて走るドライバーのサブローさん。ドライバーはリュウイチとサブローさんがほとんどやってるけど、忙しくなるとオレやケンが走ることもあるんよ。そんな時は電話を転送させて走ってな。
女の子は在籍で15人。1日の出勤は日によるけど7、8人ってとこかな。
規模としては、まだまだ全然小さい小さい。というか、そんなに大きくするつもりは最初からないからやけどな。
ただ、小さくてもそこそこの人気店にはなってきてると思う。評判は悪くない。ファンもついてきてる。こだわってるのは、女の子は厳選して雇うということ。簡単に言うけどこれが一番難しいんや。そりゃ、どこの店だってそうしたいはずなんよ。でも入店させる力がないとできない。でも女の子は喉から手が出るほど欲しい。女の子がいない店なんて潰れるしかないからな。で、結局、苦しくなって仕方なしに、それはアカンやろ。な女の子を雇ってしまうんよ。オレはそこは絶対に妥協しなかった。そこが、うちらくらいの規模の店が生き残るための生命線やからな。」
「今の話をきいただけで、ボビーさんの店のこだわりが凄く伝わりました。100件で残るのが10件だなんてボクなんかが思ってたよりずっと厳しい業界なんですね」
