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~多重人格パートタイムラヴァー・ガール~

第89章 ドライバーでスカウトマンで⑥

そんな風にサブローさんと話していると、サブローさんの携帯のシンプルなブザー音が鳴った。

「はいサブローです。はい。ユミさん10分後にコールで気ままなカタツムリで23000円ですね。了解しました。向かいます。」
サブローさんもボクもハンズフリーのイヤホンマイクをしている。
サブローさんは話ながらクリップボードの紙に慣れた手つきでペンを走らせていた。

サブローさんはボクにきこえるように指示を伝えてくれたのだと思った。
ボクは気ままなカタツムリに向かうべく車を左折させた。

「そうそう。そっち曲がって気ままなカタツムリに行こうか。今の電話は、ユミさんのキャッチに気ままなカタツムリに行け。10分後にアウト時間を伝える電話をフロントがユミさんに入れるんや。そこから10分でユミさんは出てくるから20分はあるってことやな。で、今の位置から気ままなカタツムリまでがボチボチ行っても15分。間に合うな。イッキ君は地元で土地勘があるから安心やな。
わからん時はナビやけどホテルの場合は住所やなくて電話番号を入れた方が早いな。
で、ユミさんは23000円の売上持って来るから回収しなさいってことな。
そういう数字は必ずオウム返しで復唱して確認したらメモに書くんや。
走りながらやけど気をつけてな。」

ボクはしっかり頭に刻むようにしてきいた。

「わかりました」

「今から乗せるユミさんはこの店でも長い方のコや。年齢的にも落ち着いていて物静かなコや挨拶はちゃんとするんやで。大丈夫やな」

「わかりました。」
ボクはいよいよ女の子を乗せるのだと思ったら緊張しはじめた。

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