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~多重人格パートタイムラヴァー・ガール~

第94章 ドライバーでスカウトマンで⑪

「イッチャン」そのコたちはボクをそう呼んだ。

「イッチャン彼女はいるの?」から始まって

「どんな女がタイプ?」「どんなエッチが好き?」まで。

とにかくはケンさんやサブローさんが言う、プライベートな話はしないように。と言ってボクがしてはいけないと言われているプライベートな話の過激番の質問を繰り返し、その度に困って照れるボクを見てキャッキャッと喜んだ。

これが仕事でなければボクは完全にスルーだろう。
ボクはどう反応していいのか分からず本気で困っていた。

そばにボビーさんがいれば
、「コラコラ。それ以上からかって、明日からイツキ君が来なくなると、君らも寂しくなるんやから、それくらいにしときよ」
という風に言ってくれた。
ボビーさんが若いやんちゃな女の子たちと接する時は、まるで学校の先生みたいだと言ったことがある。

するとボビーさんはこう言った。

「いやいや、学校の先生なんて偉いもんではないなぁ。オレの女の子たちとの関係のイメージはな、親せきのオジサンや。親や兄弟ではなくてな。そういう距離感やねん。しかもお母さん側のでな。お母さんは女5人姉妹で、その一番末っ子の長男って細かい設定がいいな。ちょっとお姉っぽくて女の子が生理のことなんかも気にせず相談できるって関係がいいな」

「じゃあボクはイトコのお兄ちゃんってとこですか?」
とボクが言うと

「うーん。それは微妙な感じやな。女の子からしたら、イトコのお兄ちゃんに恋することは多いらしいで。まぁ実らん恋なんやけどな。」

と言ってボビーさんはいつもの優しい笑顔で笑った。

カンナちゃん。19歳だときいている。
いつもは明るく話す女の子が仕事を終えてボクの車に乗って来た。

「お疲れさまです」
「お疲れさまです。はい」女の子が売り上げをボクに渡す。

そして、タバコに火をつけて話はじめた。

「いやいや。今のお客さんはド変態さんやった。」

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