お兄ちゃんはいちご味
第2章 いちご味
あたしは先輩の目をじっと見つめてみた。
「つ、月…神……!?」
「黙ってください」
5秒…10秒…20秒…30秒……
先輩の目から、急に光りがなくなった。
もしかして、効いてる……?
「先輩、大人しくしててくださいね」
先輩は何も言わない。
あたしは先輩の首筋に恐る恐る噛み付いた
「…んっ……」
先輩が声を漏らす
眼の力が効いていても、感覚はあるみたい…
チュ…チュウ…チュク……
ゆっくりと血を吸う
「…んっ………ぁ……あっ………」
先輩は声を出しているけど、パパの言った通り、従順に血を吸われるままだ
……………なんか、おいしくない
たしかに喉の乾きはさっきよりはマシになってきた。
けど…………
「……先輩、なんか食欲がなくなっちゃいました」
あたしはそのまま先輩を置いて、走って階段をかけ降りた
「…はあ…はあ……はあ……」
なんでだろう
昨日みたいな抑えられない衝動も、甘い香りも全然しなかった
ものすごく喉が渇いていたはずなのに………
お兄ちゃんじゃないと、お兄ちゃんじゃないと…………
あたし………