お兄ちゃんはいちご味
第12章 触れる体温
チュク…チュル…
血を吸う音が小さな小屋に響き渡る
「…お兄ちゃん、あたしが怖い…?」
「…んなわけっ…ねぇだろ…!」
「嘘。ほんとは怖いくせに…」
強がりなお兄ちゃん。素直じゃないお兄ちゃん。
その気になればあたしの腕なんか振りほどいて抵抗できるじゃん…
嫌だって言って、拒絶してもいいんだよ…?
こんなに我が儘で自分勝手で独りよがりなあたしなんかのために、
どうしてまだお兄ちゃんでいてくれようとするの…?
「お兄ちゃんは…何もわかってない」
あたしは利用してるの。この体質も、妹という立場さえも
無理矢理お兄ちゃんを手に入れようとしてる
お兄ちゃんの気持ちなんか無視して…
あたしはこんなに、汚くてドロドロした歪んだ感情でいっぱいなんだよ…?
もう、お兄ちゃんの思ってるような妹なんかじゃないよ…
「…わかってないのは、お前…だよ…」
お兄ちゃんは息を乱しながら熱っぽい目であたしを見つめた。