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お兄ちゃんはいちご味

第13章 麻くんとあたし




「明日帰るんだよね?」

「う、うん…」



今週で夏休みは終わり。
だから明日パパとお兄ちゃんと帰ることになっていた。



「ねぇ、許婚の話、考えてくれた?」

「え、っと…」

「…やっぱり捺くんが好きなの?俺じゃだめなの?」



麻くんは顔を近付けて詰め寄ってきた

麻くんは近くで見ても、やっぱりパパに似ている。まるで若い頃のパパを見ているような気分…

くっきりとした黒い瞳にはあたしが写ってる



「あたし…お兄ちゃんに、もう血吸うのやめてくれって言われちゃった…」



あたしはへへっと冗談ぽく笑ってみせた

そうでもしないと、涙が溢れてしまいそうだった



「あたしが好きでも、お兄ちゃんはやっぱりあたしのこと…妹としか思ってないから…」



あたしの目からぽろぽろと涙が零れた

悔しさと、叶うことのないお兄ちゃんへの想いが溢れた



「…だから言ったでしょ…」


ふわっ



麻くんは優しくあたしを引き寄せ抱きしめた。

そんなふうに優しくされたら、麻くんの優しさに甘えてしまいたくなる





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