お兄ちゃんはいちご味
第13章 麻くんとあたし
「それでいいんだよ果乃ちゃん
特定の血を吸うリスクは高い。いつまでもその一人を吸うわけにはいかない…」
「え…?」
「言ったでしょ、中毒症状。捺くんもそろそろ理性を保てなくなる頃かもね…」
"これ以上続けたら俺、お前に何するかわかんないから…"
「でも…俺はずっと…果乃ちゃんの血が欲しかった…果乃ちゃんを俺専用の食事にしたかった」
ぺろ…
頬に温かくて柔らかい感触。
麻くんはあたしの頬に伝う涙を舐めとった
「…ちょ、ちょっとっ…!」
「ねぇ果乃ちゃん」
「あ、麻くんっ……」
「…お願い…俺にしてよ…」
「だっ、だめ…!あたしの血なんか吸ったら…麻くんの寿命が…
「そんなのどうでもいいよ」
麻くんはぺろぺろとあたしの頬を舐めた
「俺は死なないよ…
でも捺くんは…俺たちといつまでも一緒に生きることはできない
…所詮吸血鬼は人間とは生きられないんだよ」
「…そ、れは…」
「でも俺なら果乃ちゃんといつまでも一緒にいられる。
俺と生きよう、果乃ちゃん…」
麻くんの言う通り、あたしはもう普通の人間じゃない。
お兄ちゃんしたら、きっと迷惑なだけ…
「ね、分かるでしょ…?
吸血鬼は吸血鬼と結ばれるのが一番幸せなんだよ。
だから許婚なんてしきたりがあったんだから」