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お兄ちゃんはいちご味

第13章 麻くんとあたし




「ふふ…どうしたの?緊張してる?」

「…えっ…」

「大丈夫。痛くしないから…」



麻くんは尖った犬歯をあたしの首筋にぴたっとつける

あたしをギュッと目を閉じた――




『麻人さん――』




その時、向こうの部屋から麻くんの名前を呼ぶ玲子おばさんの声が聞こえた。

何度も連呼する麻くんの名前
どうやら麻くんを探してるみたいだ



「チッ…母さんか…」



麻くんは舌打ちし、一瞬嫌悪したような顔をして、あたしから手を離した



「せっかくいいとこだったのに…
続きはまた今度ね、果乃ちゃん☆」



そのまま起き上がると、小悪魔な笑顔を向けすぐに和室を去って行った。

玲子おばさん、ナイスタイミング…!!



あたしは座ったままホッと胸を撫で下ろした。
まだドキドキと乱れている脈。



麻くん…ずいぶんかっこよくなった…


まじまじと見た麻くんの顔は、まだあどけなさも残ってるけど、なんだか色っぽくて
思わず見とれてしまった…



あたし、麻くんに血を吸われたらどうなってしまうんだろう

ついついそんなことを考えてしまう自分に嫌気がさした




あたしはお兄ちゃんが好きなのに…
お兄ちゃんだけなのに…




でも、もう諦めた方がいいのかな…

一生叶わない恋なんて…




あたし、なんで妹なんだろう…
なんで吸血鬼体質なんかになってしまったんだろう…



お兄ちゃんがあたしのこと見てくれないのは、妹だから…?

それともあたしが妹じゃなかったら
普通に会話したり、妹として優しくしてくれることさえなかったのかな…






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