お兄ちゃんはいちご味
第13章 麻くんとあたし
翌朝―――
朝ごはんを食べ、あたしとお兄ちゃんはパパの車に乗り込んだ
玄関前にはおじいちゃんと孝介おじさん、玲子おばさん、そして麻くんが見送りに出てきてくれた
「また会う日まで、達者でな」
「うん、おじいちゃんもね!」
「くれぐれも運転気をつけてよ、兄さん」
「はいはい、わかってますよ〜これでも安全運転で有名なんでね」
「ほんとかよ…」
「うるさいよ、捺くん」
なんだかんだ、ここで過ごした夏休みは楽しかった。
特に、麻くんは…
色々あったけど、やっぱりあたしは麻くんが好きだ。
大切な幼なじみ、あたしのたった一人の男友達だから…
なんだか名残おしくて、寂しくなってしまう…
「そんな顔しないでよ」
「麻くん…」
「またすぐ会えるから。ねっ♪」
「うん…」
「次会う時まで、許婚の件、ちゃんと考えといてね?」
麻くんはあたしに耳打ちして、笑顔で手を振ってくれた
それを見た玲子おばさんがあたしの耳元で小さく囁いた
「いつでも麻人に会いにいらっしゃいね。果乃ちゃん――」
「え…?」
玲子おばさんはそう言って麻くんに似た笑顔を浮かべていた――