お兄ちゃんはいちご味
第13章 麻くんとあたし
昼休み―――
「ねぇねぇちょっとかっこよくない?」
「あれが転校生くん?」
「可愛い〜」
隣のクラスが騒がしいと思ったら、1-2には話題の転校生を見に他のクラスの女子たちが集まっていた。
日直の当番で先生に呼ばれたあたしは、そんな2組を通り過ぎて職員室へと続く階段を上る
コツ、コツ、
後ろに足音と人の気配を感じた次の瞬間――
ピタッ
「ひゃっ!!」
後ろから冷たい手が伸び、誰かがあたしの喉元を掴んだ。
「果乃ちゃん見ぃつけたっ♪」
振り向くと、見覚えのある黒髪といたずらっぽく笑う瞳――
それは紛れも無く、麻くんだった。
「あ、麻くんっ!!?」
「久しぶり☆」
「な、な、なんでうちの学校の制服着て…てかなんでここにいるの!?」
「ふふっ、びっくりした?」
そりゃあびっくりしますとも!!
うちの学校、中高大一貫だし…
それに麻くん転校のことなんて一言も言ってなかったのに!!
「…もしかして美子の言ってた転校生って…」
「そ、転校生♪」
「な、なんで転校なんか……」
「…んー、まあ色々ね。ほらうちの母さん厳しいから。母さんの教育方針ってとこかな」
「でも麻くんたしか進学校だったよね…?」
「…あー、まあね。でも俺別に勉強好きじゃないし」
そういう問題ですか…!?
「ね、それより今時間ある?」
「え、今?」
「ちょうど昼休みだしさ、今日のお昼どうしようか考えてたんだよね」
「…へ…?」
ぐいっと手を引かれて踊り場の壁際に追いやられた