お兄ちゃんはいちご味
第2章 いちご味
「果乃………」
お兄ちゃんが真剣な眼差しであたしを見つめる
「もうわかったから…何も言うな」
「………そんなに血がほしいんなら……俺が…………」
お兄ちゃん……?
「…工藤先輩なんかの、他のやつの血なんか………俺の血じゃ、だめなの………?」
お兄ちゃんの、見たこともない表情…
苦しそうな表情……
「…血、吸っていいの…?」
お兄ちゃんはうつむいて、こくん、と頷いた。
お兄ちゃん………
もしかして…………
眼の力が効いてる……?
眼の力が効いてるなら………
あたしの本音、言ってもいい…?
「……お兄ちゃん、今まで避けててごめん……あたし、吸血鬼体質になって…もう普通の人間じゃないから……お兄ちゃんに嫌われたくなくて…………でもお兄ちゃんの血がほしくて…ほしくて…ずっと………」
お兄ちゃんは、急に我に返ったような、びっくりしたような顔であたしを見た。