お兄ちゃんはいちご味
第15章 中毒症状
次の日の昼休み、あたしは屋上にクラスの男子を呼び出した。
名前はたしか…谷岡くんだっけ?
前に告白されたことがある。
だからきっと簡単に血を吸わせてくれると思ったのだった。
昨日は全然眠れなかったし…
もう誰でもいいから血を吸わないと
もう限界なのかもしれない…
「あの、月神さん…?」
あたしは説明もなしに無言で谷岡くんの目をじっと見つめる
「…つ、きが…み…さ……」
谷岡くんの目がだんだんと虚ろになっていくのが分かる
そろそろ効いてきたかな…
「谷岡くん、ごめん…」
チクッ…
あたしは谷岡くんの首筋を一思いに噛んだ。
「うぅっ…」
谷岡くんが静かに表情を歪ませて、生暖かい血が口の中に流れ込んできた。
「……ん…うっ…!…げほっげほっ!!」
そしてすぐに吐いてしまった。
「……っかは、っはぁ、はぁっ…」
な、なにこれっ…!?
血が流れ込んできた瞬間、むせ返るような吐き気がして飲み込めなかった。
血が、生臭くて気持ち悪い…
なんで?
こんなこと、今までなかったのに…
試しにもう一度血を吸ってみる。
「……うっ…うえっ…げほっ…!」
う…気持ち悪っ…
やっぱりだめだ。
どうしようもなく吐き気がして吐いてしまう。
「…っう…はぁっ…はぁっ…」
涙目になりながら唇の端にこぼした血を拭って、谷岡くんに眼の力が効いているうちに屋上を出た。