お兄ちゃんはいちご味
第16章 取り引き
「それ…はっ…」
クラッ…
眩暈が襲って、あたしはベッドに倒れ込んだ。
「…………」
麻くんの顔がぼんやりと映る――
「…麻くん…」
頬に触れた麻くんの手が、冷たくて気持ちいい…
頭がぼんやりして、意識が朦朧として何も考えられない…
なんだかもう、どうでもいい…
「…いいよ…」
「…え…?」
「血、吸ってもいいから…だからあの薬…」
お兄ちゃんと喧嘩して少しヤケになっていたのかもしれない
それと少しの好奇心
こうしてあたしは、麻くんとの取り引きを了解してしまった。
「言ったね?」
麻くんは不適に口元を緩ませてあたしを寝かせ直す
急に間近に麻くんの顔がきて、胸がドキンと跳ねた――