お兄ちゃんはいちご味
第16章 取り引き
チクッ
「ん…っ…!」
再び鋭い痛みが首筋を刺した
チュク…チュ…チュル…
ピチャ…
や、ばい…
なにこれ、熱くて溶けそ…
もう無理っ……
溺れるような感覚に、あたしの意識は遠のいていった―――
――――――――…
目覚めると、制服のまま自分の部屋のベッドで寝ていた。
「ん…あれ…?」
おかしいな…
学校にいたはずなのに…
保健室で…
麻くんに血を吸われて………
バッ
慌てて飛び起き、鏡で首元を見るとそこにはまだ新しく生々しい噛み跡が赤くくっきりと残っていた。
「夢じゃない…」
あたしは麻くんに血をあげてしまった。
吸血鬼体質同士なのに…
同じ血が流れているのに……
それは少なからず麻くんの寿命を削ってしまったということだ。
噛まれた傷がズキズキと痛む
あたしはなんとも言えない罪悪感に襲われて
ただ茫然と鏡に映る傷を見つめていた―――