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お兄ちゃんはいちご味

第16章 取り引き




翌朝、起きてみるとすごく身体が軽くて
あたしの体調は不思議なくらい良くなっていた。

噛まれた跡の痛みもすっかりひいている



「行ってきまーす!」



今日もお兄ちゃんが起きてくるはやく家を出る

もともと朝が弱くて寝坊が多いお兄ちゃんだけど、最近はずっと遅刻が続いてるみたいだった。


家にあんまり帰ってないし、朝帰りとか…

たぶんゆりさんのところに行ってるんだろう――


チクリと痛む胸を押さえる


だめだ、お兄ちゃんのことなんかもう考えない

お兄ちゃんなんかもう知らないんだから…!





「果乃〜もう体調大丈夫?」

「うん!ちょー元気!」

「ほんと〜?わざとらし〜」

「えっそんなことないよっ…!」

「ふーん、まあいーけどっ。あ、そういえば2組の子が果乃のこと探してたよ。あのかっこいい転校生…従兄弟なんだっけ?」


麻くんだ…


「なんか昼休みに保健室に来てって言ってたけど…保健室って何!?怪しすぎ〜!」


美子…
言うと思った…


「い、いやほらっ、従兄弟だし…別にそんなのないって!」

「仲良しだね〜羨まし〜〜」

「別に普通だよ…」



普通…なわけないか。

保健室に来てって…
行ったらたぶんまた血を吸われる

もうあたしと麻くんとあたしは普通の従兄弟同士なんかじゃなくなってしまった




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