お兄ちゃんはいちご味
第16章 取り引き
キーンコーンカーンコーン…
「じゃあね美子」
「ばいばーい☆」
放課後、帰る仕度をして教室を出る
結局昼休みは保健室に行かなかった。
麻くんは従兄弟で、大切な幼なじみ――
自分が了解したくせに、やっぱり麻くんに血を吸われるなんて抵抗があった。
だけどこうするしかないってことも分かる
お兄ちゃんの血を吸えないなら、麻くんにあの薬を貰うしかない…
そうじゃないとあたし、今にもお兄ちゃんに噛み付いてしまいそうだから…
パシッ…
校門を出たところで、後ろから不意に腕を掴まれた
「…見つけた」
振り返ると案の定麻くんがいた。
「なんで昼休み来なかったの。俺、ずっと待ってたのに…」
「…ごめん…」
麻くん、怒ってる…?
珍しく不機嫌な表情の麻くんに戸惑う
「もう喉カラッカラ。ね、今から俺の家来て」
「えっ…今から?」
「いいじゃんすぐそこだし。ね、来てよ」
グイッ
「いたっ…」
強く掴まれた右手が痛い。
全然離してくれそうもない麻くんに、あたしは言われるがままマンションまで来てしまった。