お兄ちゃんはいちご味
第3章 キャラメル味
「……捺は日に日にママに似ていくな………きっと血もママと同じ味がするんだろうね…?」
父さんは俺より背が高い。
それをいいことに、壁に手をついて俺を逃げられない体勢に追いやる。
「ちょっ…なんだよっ!……」
果乃と同じまっすぐな黒い瞳に見つめられる。
その表情はどこか切なげだ。
母さんは、果乃が生まれてすぐに事故で亡くなったらしい
だから俺は写真でしか母さんを知らない
父さんは小さい頃から俺と果乃によく母さんの話をしてくれた
どれぐらい綺麗だったとか、どれぐらいラブラブだったとか、母さんとの思い出話とか……
母さんの話をする父さんを見る度、どれほど母さんのことが好きだったのかわかった。
父さんはきっと、今でも………