お兄ちゃんはいちご味
第1章 あまい匂い
簡単に説明すると、月神家は遠い昔の先祖に吸血鬼とのハーフがいたらしく、吸血鬼体質の子供が低くない確率で生まれるという、特異一族。
あたしのパパもその吸血鬼体質というやつで、あたしはしっかりとその血を引いてるというわけだ。
今までそれらしい症状が一切なかったあたしとお兄ちゃんは、きっと普通の人間なんだと思ってたのに―――
ガチャッ
「ただいま」
家に帰ると、パパが出掛ける支度をしていた。
「あ、果乃!おかえり〜」
この人があたしのパパ 月神 宋介(つきがみ そうすけ)
サラサラの黒髪にいたずらっぽい笑顔
どう見ても20代にしか見えないけど、実年齢は45歳
というのも、本人いわく吸血鬼体質のせいらしい
「お兄ちゃんは?」
「捺?まだ帰ってきてないけど…」
お兄ちゃん、家に帰ったんじゃないんだ…
どこ行ったんだろ…
「果乃、最近疲れてるみたいだけど…大丈夫?」
パパがあたしの頭に優しく手を置いた。
「お兄ちゃんとケンカでもした?」
「…………」
「よしよし、じゃあ久しぶりにパパとお風呂でもはいろっか?マイハニー☆」
満面の笑みで何を言うか!
パパはいつもこんな調子だ。親バカってやつなのかな…
でもあたしはこんなパパが好きだし、一緒にいると楽しい
ほんとはお兄ちゃんとも今まで通りに話したい…
あたし、どうしたらいいんだろ…?