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お兄ちゃんはいちご味

第1章 あまい匂い




次の日、3時間目は体育

しかも外!外でマラソン!天気は雲一つない晴天!

ちょうど太陽が真上に来る時間帯だ…うぅ…最悪…



あたしはクラクラするのを必死に我慢して必死に走った



あぁ、空が……

青いなあ…………






バタッ




―――――――――――





…あれ………?



あたし…なんで寝てんだろ…?

今、何時……?






「気がついた?」


突然視界に見慣れた顔が映った




「お兄ちゃん!?え?なに?」

「なにって…なーに寝ぼけんだよ。お前が倒れたって聞いたから来てやったのにさ〜」




あ、そっか…

あたし、体育で走ってて、それで…



でも待て。
よく考えたらこの状況はまずい


お兄ちゃんと保健室に二人きり…
いつものあたしなら喜ぶべきシチュエーションだけど…


でも今のあたしは…


危険なんです!お兄ちゃん!




「どした?具合、悪い?先生呼んでこようか?」


お兄ちゃんは心配そうな顔であたしを見てる



ずるい、いつもは意地悪なくせに…

お兄ちゃんは時々、ものすごく優しい……昔から………





「大丈夫…」

あたしは布団に顔をうずめた。



「お前、今日はもう早退な。もう父さん呼んだから。たぶんもう少しで来るよ」


ふわっ


お兄ちゃんが、優しくあたしの頭を撫でた。

途端、鼓動がはやくなる




や、やばい…

お兄ちゃんの手が…甘い匂いがして…



すごく……


た、食べたいです……!





お兄ちゃんの綺麗な手に噛み付きたい衝動に駆られたその時
勢いよくドアが開けられた。



「果乃っ!」

「パパ…」


ほっ…
ナイスタイミング…パパ!



「果乃、大丈夫か?起きれる?」

「うん、全然平気」

「捺、ご苦労様。あとはパパがやるから捺は授業戻りな」

「分かった。」


お兄ちゃんは最後に優しい笑顔をあたしに向けて教室に戻った。






「さて、帰ろっか。果乃ちゃん」



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