お兄ちゃんはいちご味
第6章 満月の夜
「あっ果乃っ!いた〜!」
教室に戻ると、美子が興奮気味に手を振ってきた。
「果乃!ニュースだよニュース!」
「え?」
「あたしさっき見ちゃったの!捺くんが中庭でキスしてた!」
「えっ!?」
あまりに突然の衝撃発言に、
思わず教室に響くぐらいの大声を出してしまった。
お、お兄ちゃんが
キ、キスっ……!?
「付き合ってんのかは分んないけど、たぶんあれ、2年のゆりさんだよ!」
ゆりさん……?
なんか聞いたことあるような…
「あたし中等部ん時バレー部の先輩だったんだけどさー、美人だよゆりさん」
「もしかして…髪長い?」
「うん。あと背高くスタイルいい!」
あ、……
あたし、その人知ってる
"ゆりさん"……
お兄ちゃんが中等部の時からお兄ちゃんと友達みたいで
何度か家に遊びに来たこともあった
長くて綺麗な茶髪と大きな瞳が印象的な綺麗な顔立ち
明るくていい人そうだったけど、なぜかいつもあたしには冷たくて…
まるで敵視しているみたいだった
そっか。
お兄ちゃんのこと、好きだったんだ…
「果乃、捺くんに直接聞いてみなよ!」
「え、でも…」
ずっとお兄ちゃんのこと避けてたのに、いきなりそんなこと聞きづらい…
「今日!今日聞いてみなよ!」
「え…今日!?」
「なぜならあたしが気になるから!」
「なにそれ…」
美子は半ば強引に約束させた。
「宿題だよ?分かった?」
面白いことを見つけたかのように嬉しそうな美子
「わ、分かった…」
あたしは渋々了解した。
美子の押しには弱い。
そんなわけで、今日中にお兄ちゃんに真相を確かめるハメになってしまった…
美子に押されたとはいえ、あたしだって内心すごく気になる