お兄ちゃんはいちご味
第6章 満月の夜
その日の夜。
パパはいつも通り仕事に出かけ、お兄ちゃんと二人きりになった
最近夕食はわざと別々に食べていて、家の中でもお兄ちゃんと顔を合わせないようにしていた。
お兄ちゃんが食べ終わった頃、リビングに下りて一人で夕食を食べる
「はぁ……」
今日も一人でごはんかあ…
てか、ゆりさんのこといつ聞こう…
そんなことを考えながら、あたしはため息混じりにリビングに入った。
「…あ、果乃……」
お兄ちゃんがキッチンでお皿にシチューをよそりながら、
少し気まずそうな顔であたしを見た。
「あ、お兄ちゃん…いたんだ…」
「今日はシチューだよ」
お兄ちゃんはあたしから目を逸らした
ズキン…
あ、まただ…
また、あたしを見てくれない…
「果乃シチュー好きだろ?久しぶりに一緒に食べよ」
お兄ちゃんは優しい声でそう言いながらあたしの分もよそってくれた。
「う、うん…」
お兄ちゃんはいつもこうだ。
いつもは意地悪なくせに、
こんなふうに、急に優しくするんだ
だからいつも
お兄ちゃんの本音がわからない