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お兄ちゃんはいちご味

第1章 あまい匂い




ザアァァァァ―――



ガチャッ…

あたしは脱衣所に入った。

お風呂のドアに、ぼんやりお兄ちゃんのシルエットが映し出されてる

あたしはドア越しに今日のお礼を言おうと思った。

ほんとはちゃんと顔を見て言いたいけど、顔を見たらきっと、それどころじゃなくなっちゃうから…

ドア越しなら…





「…お兄ちゃん……」

「…え、果乃!?」



お兄ちゃんはびっくりしたような焦ってるような声で反応した



「…お前、もう平気なのかよ」

「うん、今はちょー元気!」

「じゃあちゃんと夕飯食えよ。お前の嫌いなブロッコリー入れといたから!」

「お兄ちゃん最悪!!」

「そんなんだからいつまでもチビなんだよ?」

「チビで悪かったな!」




…不思議。ドア越しだと、いつもみたいに会話ができる

こんなふうにお兄ちゃんと話したの、久しぶり…




「…お、お兄ちゃん、あのね、今日は…ありがとね。


ザアァァァァ―――



「は?何が?」



シャワーの音で聞こえないみたいだ



「だ、だから!その…」

「全然聞こえねーよ」



ひ、人がせっかくお礼を言おうとしてんのに…!この兄貴は…!


あたしはちょっとヤケになって大きな声を出した。




「だーかーらー!今日はありがとうって!言ってるの!!」


それと同時に勢い余ってドアを押してしまった。




ガチャッ…




え……!?

ちょ………!





バッシャーンッ



お風呂場のドアが勢いよく開き、あたしは濡れた床に足を滑らせてそのままお兄ちゃんと一緒に湯舟へ墜落。




ちゃぷん…



「いってぇなぁ…」


気付いたらあたしはお兄ちゃんの上。



「お、お兄ちゃっ、ごめっ」



あわてて立ち上がろうとした時――――



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