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美味しいケーキの果物たち

第2章 珈琲の香りに誘われて

「こちらへどうぞ!」
 案内されたのは、カウンターだった。
 佳輝が椅子に腰掛けると、カウンターの奥から、ベストにネクタイの男性がコーヒーの入ったサーバーを持って、出てきた。

 男性は、サーバーから流れるようにコーヒーをカップに注ぐ。

「四番テーブルのコーヒーをお願いします」
 カウンターの男性が声をかける。

「はーい」
 さっきのメイド服の子が走ってきて、そのコーヒーを運んでいく。


 佳輝は、店内を一周見回してみた。

 店内にはクラッシクが流れる。レトロな雰囲気にぴったり。

 本を読んでいる人。
 食事をしている人。

 デートかな?楽しそうに話をして言うカップルと結構人がいた。

(いい感じ…ゆっくり出来そう…)
 心の中で喜んでいる佳輝。


「お待たせしました。ご注文は?」
 カウンターの男性が、佳輝の前に来て、軽く頭を下げた。

「あ、コーヒーを…」
(初めての店だから、取り敢えずかな…)

「…お好みの豆はありますか?」

「さっきの同じブレンドで…」
 メイドの子が運んでいった方を指差す。

「かしこまりました」
 男性は、アンティークデザインのミルに手際よく豆を計量していれている。

(豆をこだわる店なのかな…穴場かも…)

 男性はハンドルをリズミカルに回しながら豆を挽き始める。


 その音色とミルの豆を挽く音を目を閉じ聞いている佳輝。

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