『幼なじみ』
第15章 絆
すると・・・
その人影は・・・
慌てて何かを
抱えながら・・・
拓弥から
逃げるように
大通りに向かって
走り出す・・・。
拓弥はハッ!として・・・
逃さん!とばかりに
猛ダッシュで
追い掛けるが・・・
沢山の車が
猛スピードで
行き交う隙を
上手くスリ抜けると・・・
その人影は・・・
大通りの反対車線に
停めてある・・・
ブルーのワゴン車に
勢いよく乗り込み・・・
キキキーッと
急発進させると・・・
瞬く間に
走り去ってしまった・・・。
「ハァ・・・ハァ・・・
何なんだよ・・・?全く・・・」
息を切らし
去っていく車を
呆然と眺めていたが・・・
徐々に悪い予感が
拓弥の胸を
締め付け始める・・・。
「拓弥ー?大丈夫ー?」
心配し
追い掛けて来た
ルイ君が・・・
遠くから
此方に向かって
叫んでいるが・・・
何も
耳に入らない様子の
拓弥は・・・
『まさか・・・
今日のイベントに・・・
関係してるんじゃ・・・?』
と・・・
絶対にあっては
ならない
不吉な考えに
頭を支配され・・・
ドサッと
その場に
座り込んでしまう・・・。
暫く・・・
道路で座り込む拓弥を
見付けたルイ君は・・・
焦って駆け寄り・・・
「ハァ・・・とりあえず・・・
拓弥ん家で休も・・・?」
と・・・
優しく慰め・・・
肩を貸し
ゆっくり
立ち上がらせると・・・
体の力が
抜けた状態の
拓弥の肩を担ぎながら・・・
先ほど来た道を
やっとの思いで
引き返した・・・。