『幼なじみ』
第16章 要塞
「おー!拓弥じゃん!!
いよいよだな・・・!!」
なんとも素晴らしい
タイミングで
拓弥の前に現れ・・・
爽やかに声を・・・
掛けてきた
先程の足音の持ち主は・・・
なんと・・・!
これからこのクラブで
DJをする・・・
顔見知りの
春斗だった・・・!
【staff・only】と・・・
書かれた
鉄の扉を・・・
防犯ライトが
眩しい程の光で
照らす中・・・
スッと・・・
モデルのように
佇む春斗は・・・
いつもの香水に
身を包み・・・
サラサラとした
肩に掛かる程の
栗色の髪をなびかせ・・・
全く隙の無い
真っ白なアルマーニの
シャツと・・・
ヴィンテージモノの
ジーンズをそつなく
着こなし・・・
シルバーと
ターコイズの・・・
センスの良い
アクセサリーを
さりげなく身に付け・・・
何十枚もの
レコードを入れた
銀色のトートバッグを
肩に担ぎながら・・・
いつもの・・・
優しい笑顔を
此方に向けて来る・・・。
そんな春斗の顔を・・・
マジマジと
見つめながら・・・
仲の良い
顔見知りに会えた
喜びと安堵感に・・・
一気に・・・
包まれて行った・・・
拓弥は・・・
頬を紅潮させると・・・
脇目も振らず・・・
春斗に豪快な
ハグをした・・・。