『幼なじみ』
第16章 要塞
「ど・・・どしたの・・・?
拓弥・・・?
何々・・・?
俺にそんなに・・・
会いたかった訳・・・?
アハハ・・・」
あまりにも・・・
熱烈な拓弥の
歓迎ぶりに・・・
一瞬・・・戸惑うも・・・
ハグには・・・
慣れっこの春斗は・・・
顔色一つ
変えないまま・・・
「俺さ・・・
これから・・・
回すんだけど・・・
DJが終わり次第・・・
調達した女の子・・・
沢山VIPに・・・
連れてくから
待っててよ・・・!」
と・・・
ゆっくり拓弥から・・・
体を離しながら・・・
爽やかな笑顔を
此方に向けて来る・・・。
女なんて・・・
今更・・・
どうでも良かった
拓弥だったが・・・
東京連合の
誕生日パーティーに
どんな形で拓弥が
関わっているのか・・・
詳細を
全く知らないハズの
春斗に・・・
今現在・・・
全てを打ち明ける
時間も・・・
心の余裕もなく・・・
「サンキューな・・・
つか・・・春斗が・・・
回し終わる頃・・・
俺がDJブースに
顔出すよ・・・」
と・・・
持っていた紙袋を・・・
後ろ手に隠しながら
静かに告げる・・・。
すると・・・
何かいつもと
違う空気を
感じたのか・・・
訝しげな表情を
浮かべた春斗が・・・
「あれ~拓弥~?
ひょっとして・・・
元気ない・・・?
つかさ・・・
今日は・・・
楽しんじゃおうよ~!
それじゃ俺・・・
三階のフロアで
回してるから・・・
あとで必ず来てよッ!」
と・・・
いまいち
燻っている拓弥に
優しく喝を入れ・・・
ポンポンと二回・・・
励ますように
肩を叩くと・・・
gold専属のDJらしく
慣れた手つきで・・・
裏口のドアを開け・・・
颯爽と・・・
中へ入って行った・・・。