
『幼なじみ』
第17章 幼なじみ
そんな自分の・・・
急激な変化に
対応出来ない拓弥は・・・
急いで前を向き・・・
何度も深呼吸し・・・
徐々に・・・
平常心を取り戻すが・・・
冷静になった拓弥に・・・
今度は・・・
違和感の波が
グイグイと・・・
押し寄せ始める・・・。
その女は・・・
確かに・・・
悠希らしき面影は
あるものの・・・
化粧をバッチリした
女の顔は・・・
まるで・・・
見知らぬ外国の
人形のようなのだ・・・。
何だか・・・
自分が知っている
ウブな悠希が・・・
手の届かない所へ
行ってしまったような・・・
そんな淋しい想いに
胸を・・・
締め付けられて行き・・・
拓弥は・・・
全く前へ進まない
バーカウンターの
長い行列に
身を委ねながら・・・
消えてくれない
この重苦しい気分を・・・
何とか払拭しようと・・・
暫し・・・
小さい頃の
悠希の思い出に
心を馳せてみる・・・。
『えーっと・・・
小学生の頃は・・・
優等生タイプで・・・
アッ・・・でも・・・
すぐ泣くから・・・
イジめる奴らから
守ってやったっけ・・・。
中学入っても
勉強出来て・・・
でも・・・まぁ・・・
堅物って訳じゃねーし・・・
確か・・・
俺の親友と・・・
付き合ってたよな・・・?
明るくて
普通に可愛くて
先生の受けも良いし・・・
つか・・・俺・・・
結構・・・
憧れてたんだよな・・・
ハハハ・・・』
一人・・・
照れ笑いを
浮かべていると・・・
突然・・・
荒れ狂う人波が・・・
拓弥に向かって・・・
ドドッと・・・
津波のように
押し寄せて来た・・・。
