『幼なじみ』
第20章 魔性
春斗は・・・当初・・・
梨香に対し・・・
「お疲れ様・・・
よく・・・頑張ったね・・・」
と・・・優しく呟き・・・
只々普通に・・・
接していたのだが・・・
突然・・・
何を思ったのか・・・
梨香の体を・・・
グイッと
自分に引き寄せると・・・
なんと・・・!
公衆の面前で・・・
当たり前のように・・・
額にキスをしたのだ・・・!
拓弥は・・・
目の前の
春斗の行動が・・・
万が一・・・
キャッチの仕事の
延長だとしても・・・
そこまでやる
意味があるのか全く
理解出来ず・・・
ポカンと・・・
見つめていたのだが・・・
徐々に・・・
春斗に対する
尊敬の念が・・・
あたかも・・・
崩れ落ちるかのように・・・
嫌悪感へと・・・
変わってしまう・・・。
『春斗・・・
そこまでして
好きでもない女に・・・
尽くせる・・・
お前って一体・・・
何なんだ・・・?
金の為なら
何でもするのかよ・・・?
これじゃ・・・
梨香が魔性なのか・・・
春斗が魔性なのか・・・
何かぶっちゃけ・・・
どっちもどっちだな・・・』
そんな・・・
残念な気持ちに
苛まれていると・・・
漸く・・・
二人の世界から
抜け出したのか・・・
にこやかな笑顔を
浮かべた春斗が・・・
拓弥に向かって・・・
大きく・・・
手招きをした・・・。