『幼なじみ』
第20章 魔性
そんな拓弥には
全く気付かないまま・・・
未だ・・・
興奮が冷めやらない
春斗は・・・
「拓弥・・・!
ごめんねッ・・・!
梨香さぁ・・・
男と見れば・・・
どんな奴にでも
営業掛けちゃうんだ・・・
まぁ・・・
仕事熱心なのは
良いことだけど・・・
何か問題発生したら
担当の俺の首が・・・
飛ぶでしょ・・・?
だから・・・
厳しく言ってんのにさ・・・
あ・・・でも・・・
梨香に・・・
悪気はないから・・・
許してやってッ・・・!」
と・・・
梨香の尻拭いに
必死になりながらも・・・
自分勝手に組んだ・・・
梨香の腕を・・・
怒り気味に・・・
バッと振りほどく・・・。
なんやかんやと・・・
梨香に惚れてる
気持ちを
隠そうと・・・
言い訳がましく
説明する春斗の姿は・・・
余りにも滑稽で・・・
拓弥は・・・
何も気付いていない
素振りを見せようと・・・
気にしてないよ!
とばかりに・・・
にわかに・・・
ほくそ笑む・・・。
すると・・・
拗ねたように
突如・・・
怒りを露にした
春斗の態度が・・・
執拗以上に
面倒臭いのか・・・
突然・・・
メンソールの
細長い煙草を
胸元から
取り出した梨香は・・・
不貞腐れた
表情を浮かべながら・・・
口にくわえ・・・
火を着けると・・・
真っ白な煙を・・・
一気に吐き出した・・・。