『幼なじみ』
第20章 魔性
そんな・・・
拓弥と梨香の・・・
落ち着かない様子を
目の当たりにし・・・
自分が・・・
ついウッカリ・・・
取り乱して
しまった事に・・・
漸く気付いたのか・・・
ハッとした表情を
浮かべた春斗が・・・
俯き加減で・・・
話し掛けてくる・・・。
「拓弥・・・梨香・・・
なんか俺・・・
テンパって・・・
ホントごめん・・・。
今日さ・・・
既に色々あって
疲れてんのかも・・・。
でも・・・
もう大丈夫だから・・・
楽しくやろッ・・・!」
いきなり・・・
自分の非を認め・・・
素直に謝る春斗に・・・
感銘を受けた拓弥は・・・
春斗との絆は・・・
絶対に大切にしよう!
と・・・心に決め・・・
そんな大切な
男友達が・・・
惚れている女には・・・
一切・・・
手を出さないぞ・・・と・・・
梨香に対する邪念を
心の中で封印する・・・。
しかし・・・
近い将来・・・
キャッチの仕事絡みで・・・
梨香に
世話になるかもな・・・。
と・・・
余計な考えが
ふと頭を・・・
過ってしまい・・・
疚しい気持ちに・・・
歯止めが
架けられなかった
拓弥は・・・
先程・・・
梨香から手渡された・・・
黒地にピンク色の
ラメ入りの文字で・・・
【六本木マシェリ・梨香】
と印刷されている
キャバクラの名刺を・・・
春斗に・・・
見つからないよう・・・
短パンのポケットに
ギュッと力ずくで
ネジ込んだ・・・。