
『幼なじみ』
第22章 詐称
「こんばんは~
ねぇ・・・君たちさ・・・
さっきから・・・
右側のVIPルーム
見てるけど・・・
どうかしたの・・・?」
艶のあるハスキーな
その男の声に・・・
ハッと同時に・・・
振り返ったあたしたちは・・・
暗黙の了解で・・・
その男の風体を
観察し始める・・・。
すると・・・何故か・・・
その男からは・・・
チャラチャラした
軽薄な空気は
一切感じられず・・・
あたしは一瞬にして・・・
温かな安心感に・・・
包まれる・・・。
美波も多分・・・
あたしと同じ思い
だったのだろう・・・
ジントニックを・・・
一口すすると・・・
その男に向かって
優しい笑顔を浮かべ・・・
一気に警戒心を
解き放ったのが・・・
手に取るように
伝わって来た・・・。
そして美波が・・・
「こんばんは~!
初めまして・・・ですよね・・・?
あたしたち・・・
VIPルームには
用は無いんですけど・・・
今・・・ちょっと
人を探してて~
待ちぼうけ
状態なんですよ~!
そちらは・・・
うちらに・・・
何かご用ですかぁ・・・?」
と・・・
大人の雰囲気を漂わせる
その男に・・・
波長を合わせるべく・・・
失礼の無いよう・・・
敬語を使って・・・
喋り出した瞬間・・・
男は咄嗟に・・・
優しく微笑み返すと・・・
悪びれもなく・・・
驚くべき台詞を口にした・・・。
