『幼なじみ』
第23章 罠
「さっき・・・
そこの・・・
VIPルームの前で・・・
俺・・・
中に入る人の
ボディチェックを
してたんだよ・・・。
そしたら突然・・・
喜多見って男が
現れてさ・・・
お前は
拓弥を知ってるか・・・?
って・・・
拓弥の特長を
説明しながら・・・
俺に・・・
聞いてきてよ・・・」
日本語を
流暢に話す・・・
黒人の
セキュリティは・・・
飛び出しそうな目を
クリクリと動かし・・・
口を尖らせながら
話を続ける・・・。
「で・・・俺は・・・
口が固いから・・・
拓弥を
知ってるとは・・・
言ってないけど・・・
その・・・
喜多見って男・・・
多分・・・
拓弥が・・・
もうすぐ・・・
このVIPルームに
現れるハズだから・・・
見掛けたら・・・
コレ・・・
渡してくれ・・・ってさ・・・。」
迷彩柄の
パンツのポケットに
手を入れ・・・
ゴソゴソと
何かを探していた
セキュリティは・・・
一枚の紙を取り出し・・・
スッと拓弥に
手渡して来る・・・。
すると・・・
その紙には・・・
喜多見の名前が
中央に印刷されており・・・
名刺だと
気付いた拓弥が・・・
パッと受け取り・・・
顔に近づけ・・・
もう一度じっくり
確認してみると・・・
なんと・・・!
そこには・・・
嘘で固められた
喜多見の肩書きが・・・
否応なしに
網羅されていた・・・。