『幼なじみ』
第23章 罠
【午前3時。
非常階段を上がって
屋上に来てくれ】
『ん・・・?
コッ・・・コレだッ・・・!!』
喜多見の
直筆であろう・・・
この文面を・・・
漸く
発見した拓弥は・・・
落ち度が無いよう・・・
一文字一文字
丁寧に読み進める・・・。
そして・・・
徐々に・・・頭が・・・
文面の内容を
理解すると同時に・・・
余りの緊張からか・・・
拓弥の身体は・・・
小刻みに震え始めた・・・。
『・・・とうとう・・・
喜多見と・・・ご対面・・・か・・・』
今にも
現実逃避しそうな・・・
自分の意識と
戦いながら・・・
喜多見からの
メッセージを・・・
何度も
心の中で読み返す・・・。
『午前3時・・・
物(ブツ)の
引き渡しは・・・
このクラブの
屋上って訳か・・・
確か・・・
一階の非常階段・・・
立ち入り禁止・・・
だったよ・・・な・・・?
つか・・・もし・・・
これが・・・
喜多見の罠だとしたら・・・
俺・・・
生きて・・・帰れんのか・・・?
あぁ・・・もう・・・
俺一人の力じゃ・・・
どうする事も・・・
出来ねーわ・・・』
拓弥は・・・
弱音を吐きながら・・・
これから
起こり得る
見えない恐怖に・・・
またもや
押し潰されそうになり・・・
まさに・・・
地獄行きの
切符と言える・・・
喜多見の名刺を・・・
掌で力一杯・・・
握り潰した・・・。