『幼なじみ』
第24章 抱擁
「拓弥くーんッ・・・!
やっと見つけたぁ・・・!
さっきは・・・
VIPに誘ってくれて
有難うございまーすッ!
アッ・・・!あたし・・・
美しい波って書く・・・
美波ですけど・・・
覚えてくれてましたぁ・・・?
つか・・・
拓弥君と
ゆっくり話したくてぇ・・・
VIPルームに・・・
早めに来ちゃったん
ですよぉ・・・!
早く・・・アッチの席で・・・
一緒にお酒でも・・・
飲みたいなッ・・・!」
拓弥の
焦る気持ちをヨソに・・・
またもや・・・
邪魔に入った
天敵美波は・・・
カウンター席を
指差しながら
捲し立てたかと思うと・・・
更に・・・
饒舌に話し続ける・・・。
「つーかぁ・・・
拓弥君・・・
悠希と・・・
【幼なじみ】
なんですよねぇ・・・?
こんなに
お洒落だからぁ・・・
昔から
チョー遊び人なのかなー?
なんて・・・
最初・・・
勝手に思ってたん
ですけどぉ・・・
昔・・・
サッカー部だったって
悠希から聞いて・・・
なんか・・・ぶっちゃけ・・・
安心したかもー!」
ペラペラと勝手に
人の昔話まで披露し・・・
酔っ払い特有の
潤んだ目で・・・
見つめてくる
美波の態度は・・・
余りにも不本意で・・・
段々と・・・
無性に・・・
腹が立って来た拓弥は・・・
突然・・・
「チッ・・・!」と
舌打ちすると・・・
眉間に深いシワを寄せ・・・
更には・・・
ガンガンと大きく・・・
右足で・・・
貧乏揺すりをし始め・・・
笑顔を振り撒く
美波に対し・・・
明らさまに
嫌悪感を露にした・・・。