『幼なじみ』
第24章 抱擁
「たッ・・・拓弥ッ・・・?!」
人目も憚らない
拓弥の突然の行為に・・・
戸惑いを
隠せない様子の
悠希は・・・
仰け反ったまま・・・
腕の中で
固まっている・・・。
それでも・・・
一瞬・・・力ずくで・・・
拓弥の身体から
離れようとするが・・・
絶対に・・・
逃すものかと・・・
益々・・・
両腕に力を込めてくる
拓弥に・・・
悠希は・・・
今・・・どう足掻いても
無駄だと諦めたのか・・・
次第に・・・
脱力して行き・・・
いつしか・・・
微動だに
しなくなった・・・。
どれ位・・・
時間が経ったで
あろう・・・
二人は・・・暫く・・・
まるで・・・
蝋人形のように・・・
一切・・・
身動ぎしないまま・・・
身体を・・・
寄せ合っていたが・・・
拓弥が突然・・・
「・・・お前の事は・・・
俺が・・・守るから・・・」
と・・・優しく・・・
悠希の耳元で囁き・・・
自分の腕に
スッポリ包まれている・・・
可愛らしい
悠希の無事を・・・
心から
神に感謝しようと・・・
静かに・・・目を閉じた・・・
その瞬間・・・
「拓弥ッ・・・!
もう・・・離してッ・・・!」
と・・・
いきなり・・・悠希が・・・
金切り声を上げ・・・
両手で・・・
拓弥の胸元を
力強く押したかと
思うと・・・
バッと・・・
自分の身体を離し・・・
その勢いで・・・
二、三歩
後ろに下がりながら・・・
たじろぐ
拓弥の顔を・・・
思い切り睨み付けた・・・。